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高森明勅
2019.7.24 06:00政治

元号に冷淡だった安倍首相

どうやら安倍首相は元々「改元(元号を改めること)」に興味が無かったようだ。
平成30年9月中旬、政府関係者が日本テレビ政治部の取材に以下のように
答えていたらしい。

「元々、退位については皇室が勝手に言い出したことを
面白く思っていない。
さらには天皇陛下や秋篠宮さまからの意向が聞こえてくること自体、
すごく冷めた感じ。
とてもいい雰囲気とは言えない。
だから、退位や即位に関する話というのも
やらなくてはいけない義務ではあるけれど、
進んでやりたいというような気持ちはみられない」と。

ところがその後、新元号の発表時期を前倒しするか、
前倒しをしないで前回の形を踏襲するか、
日本会議系の保守派政治家で首相補佐官の衛藤晟一参院議員と、
内閣官房副長官の杉田和博氏ら官邸事務方との対立が激しくなる。
勿論、衛藤補佐官は前倒しに反対。
一方、事務方は前倒し論だった。
この対立がメディアに取り上げられるようになると、
様子が変わって来る。

「発表時期を巡り、衛藤補佐官側の話を取り上げているのは、
不思議なことに、朝日新聞と毎日新聞で、読売新聞はほとんど書いていない。
もう構図がはっきりしている。
総理が考えていることに反対する朝日、毎日と、
それとは真逆の対応をしようとする総理。
この構図が続く限り、総理は、朝日、毎日が報じた内容とは真逆の対応をとる」
(政府関係者)。

それまで元号やその発表時期について無関心だった安倍氏が、
朝日、毎日の報道に焚き付けられて、にわかに興味を持ち始めたという。
日本テレビ記者いわく、
「そんな理由で(新元号の)発表時期が決まるのかとも思ったが、
あり得なくはなかった」と(日本テレビ政治部『ドキュメント「令和」制定』)。

やれやれ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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